弥月わかな

今生きている すべての君とあなたへ

ラスト・レター ~原点回帰の物語~ 22

今回も読んでいただき、ありがとうございます。

スターをくださる方、ありがとうございます!

 

 

普段は、他愛のない話ができる幸せなんて、考えたこともなかったですが、

この時は幸せを嚙みしめながら、妙真さんとの時間を過ごしていました。

 

時間は無情にも過ぎていき、あっという間に実習終了時間が来ました。

時計を見てがっくりしている私を、妙真さんはいきなり私の白衣の袖を引っ張り、耳打ちしました。

 

「アタシの本名はね、”華子”っていうんだよ。」

 

なぜ急に本名を教えてくれたのかわかりませんでしたが、やっと認めてもらえたようで、

とにかく嬉しくて嬉しくて、「素敵な名前ですね!」と返すのが精一杯でした。

 

「みんなには内緒だよ!」と口に人差し指を当てる妙真さん。(←なんでだろう???)

 

この時、はるが実習前半終了の挨拶をしに来ました。

はると穏やかに話す妙真さんを見て、もっと妙真さんに喜んでほしい、

妙真さんの周りを彩り豊かにしたいなぁと思い、来年もまたいっぱいくす玉を作ることを約束。

カーテンレールいっぱいのくす玉なんていいなぁ、なんて。(←看護師さんにめっちゃ怒られるヤツ)

 

私はこの段階でも、また来年、当たり前に妙真さんと会えると思っていたんです。

来年も当たり前に、今と同じ穏やかで優しい時間が過ごせると。

 

私はこの時、思い出すべきでした。

妙真さんがいつ命の灯が消えるかわからないと、余命宣告を受けていることを。

 

これが妙真さんの笑顔を見る、最後の瞬間かもしれないことを…。

 

 

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まだまだ続きますが、お付き合いいただけると幸いです。